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[第10回] パワハラ?それとも業務上の指導?さあどっち?


(財)新潟県健康開発財団                                         保健師 佐藤 裕子

保健師 佐藤裕子  いつも『なるほど!健康アップ情報』ご覧いただきましてありがとうございます。

 ♪もういくつ寝るとお正月・・・。今年も残りわずかとなりました。今年も皆さまにはセミナーや講演にお招きいただき、お知り合いになれるご縁をいただきましたこと、またこの『なるほど!健康アップ情報』を飽きもせずご覧いただきましたこと、心より感謝申し上げます。

 では、今年最後の『なるほど!健康アップ情報』、テーマは「パワハラ?それとも業務上の指導?さあどっち?」をお送りさせていただきます。

 ところで、皆さま平成20年11月18日火曜日の新潟日報をご覧になられましたでしょうか?実は「職場が危ない 〜新潟パワハラリポート〜」というタイトルで、新潟県内のパワハラについて特集が掲載されていました。管理職の立場からのパワハラのとらえ方、そして教育研修を行っている立場から当財団常務理事ならびに新潟県労働衛生医学協会常務理事の大西金吾のコメントが掲載されました。

 「パワハラ」正確に言いますと「パワーハラスメント」という言葉をご存知の方は少なくないと思います。法的に定められた定義は未だありません。この「パワーハラスメント」という言葉は、セクシャルハラスメントから派生した和製英語で、2001年から使われ始めるようになりました。

 命名者である株式会社クオレ・シー・キューブ社長の岡田康子氏によりますと、下記の通りに定義しています。
 
(1)職権などのパワーを背景にして
(2)本来業務の範ちゅうを超えて
(3)継続的に
(4)人格と尊厳を傷つける言動を行い
(5)就労者の働く環境を悪化させるあるいは雇用不安を与えること

 
  では実際にパワハラで悩んでいる方は増えているのでしょうか?データをご紹介します。

 (社)日本産業カウンセラー協会と日本労働組合総連合会が、世界自殺予防デーにあわせて、全国で今年9月10日から12日の3日間実施した「働く人の電話相談室」の結果が9月19日に公表されました。

 期間中に寄せられた相談件数は535件で、相談分野では「職場の問題」が最も多く、全体の29%を占めていました。

 この「職場の問題」を事項別にみると、最も多いのは「セクハラ、パワハラ」が23.0%、次いで「仕事のこと」20.5%、「人間関係」20.5%、「労働条件」16.8%などの順となっておりました。ちなみに「セクハラ、パワハラ」についての相談は昨年8%でした。

 また東京都労働相談情報センターによる「使用者の職業環境配慮義務に関する実態調査(概要版)」(平成18年2月)によればパワハラが「問題になったことがある」とするものと、「問題になったことはないが、実態としてはある」とするものは下記の表のようになっており、問題が潜在化している状況が見受けられます。
 
【パワーハランスメントの実態】

「使用者の職業環境配慮義務に関する実態調査」
東京都労働相談情報センターより

  問題になったことがある 問題になったことはないが
実態としてある
必要以上に大声で怒鳴る 2.2% 14.6%
人格を否定するような発言をする 1.7% 10.7%
仕事の失敗や実績の低さを執拗に追及する 1.6% 16.0%
勤務外の時間に無理に飲み会につき合わせる 10.1%
上記の他に「実態としてはある」とするものに、「達成不可能なノルマを求める」「仕事を与えない・仕事の指示をしない」「身体や性格の特徴を取り上げてなじる」が挙げられています。
 
 難しいのは、上司の行為がパワハラなのか、本来の業務上の指導なのかの線引きではないでしょうか。部下を育成するため、部下の失策を叱ったり、あるいは部下にとってきつい目標を与えることもあると思います。また部下の感じ方も個人差があります。

 大切なのは、お互いに思いやりを持ち、気持ちよく仕事ができるよう、意識すること。そして管理監督者の役割として、働きやすい職場環境を整えることが求められており、その中にコミュニケーション能力も含まれていることをどうぞお忘れなく。

  最後に、あなた自身がパワーハランスメントの加害者になっていないか、ぜひ自己チェックしてみてください。もしかしたら、加害者になっているかもしれません。
 
 1. 特定の部下に仕事を過度に与えていませんか
 2. 特定の部下に仕事を与えない、あるいは閑職に就かせるようなことをしていませんか
 3. 特定の部下に、仕事で無理難題をおしつけていませんか
 4. 仕事のミスを注意する時に人格否定するような言動はしていませんか
 5. 特定の部下だけを必要以上に責めることをしていませんか
 6. 人前で部下に恥をかかすような言動をしていませんか
 7. 仕事の出来栄えが不満な時に「バカヤロー!死んでしまえ」などの暴言をはいていませんか
 8. 特定の部下に情報を与えないなど無視するような行動はないですか
 9. 特定の部下には挨拶を返さないようなことはしていませんか
10. 机をたたくなど威嚇を含めて暴力をふるうことはないですか  
「元気な職場づくり 管理者の行うこころの健康づくり対策」
(東京産業保健推進センター)参照
 
 いかがでしたでしょうか?私はあるセミナーに参加させていただいた時に講師の先生がおっしゃっていました。

 「上司殺すにゃ刃物はいらぬ、3日報告せねば良い!」

 もし、部下が報告してこなくなった時は、危険サイン。普段からの人間関係づくりが大切ですね。

 来年の大河ドラマ「天地人」は、『愛』の前立の戦国武将直江兼続。戦乱の世にあっても「愛」をもって戦いに臨む直江兼続のように、愛という「思いやりの心」をもって接することが部下を育て、職場を活性化させる一番強力な力になるのではないでしょうか。

 それでは、来年も引き続き「なるほど!健康アップ情報」ご覧いただけますよう、お願い申し上げます。次号もお楽しみに!
 


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